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第9回北海道淡水魚保護フォーラム

希少淡水魚イトウの現状とその研究

福島 路生(国立環境研究所)

福島路生

ふくしま・みちお
独立行政法人国立環境研究所に1996年より勤務。現在、アジア自然共生研究グループ・流域生態系研究室にて主にメコン川の淡水魚類の研究、とくにダムの影響評価に取り組む。水産学博士(アラスカ大学)。

http://www.nies.go.jp/asia/kenkyusha/fukushima_michio.html


産卵期のイトウ

 日本最大の淡水魚であるイトウ(サケ科魚類)は近年、著しくその分布と個体数を減らしています。日本、また国際的な自然保護機関であるIUCN(国際自然保護連合)でも本種を絶滅危惧種と位置づけ、種とその生息環境の保全をつよく訴えています。現在、イトウは北海道と極東ロシアにのみ生息します。本フォーラムでは、北海道におけるイトウの過去から現在までの分布の変化を見ながら、分布が縮小していった原因について行った解析結果を紹介します。

 イトウのみならず北海道の淡水魚の生息を脅かしている要因はいくつか考えられます。ダム建設、河川改修(直線化や護岸)、農地開発、森林(特に河畔林)の伐採、釣り人による釣獲圧、外来魚の侵入などが主なものです。イトウの生息の記録が残る48の河川から、本種がつぎつぎと姿を消していった過程がどの要因によってもっとも合理的に説明されるかを客観的に示すことはさほど難しいことではありません。しかし、その結果をどう解釈するか、その結果からどのような対策、選択を私たちが取るべきか、取りうるかを考えることは難しいことですし、科学の域を超えた問題かもしれません。本フォーラムでの討論から何かよいヒントが得られることを期待したいと思います。

 2006-2007年、国立環境研究所は米国の環境NGOであるワイルドサーモンセンターやロシアの研究機関である太平洋漁業海洋研究所とともに、北海道とロシアのイトウの調査を行いました。北海道では道北の猿払川、またロシアではハバロフスクからヘリで3時間ほどにあるコッピ川で現地調査を行いました。これらの調査風景の写真もまじえてイトウの現状と本種をとりまく国際的な取り組みについてもお話したいと思います。